塔が崩れ数日、村を離れた者達は舞い戻り、村の復興に勤しんでいた。
神の瞳に頼らず生きていく。
彼等はそう決め暮らす事にしたのだ。
ある家屋のベッドの上、暖かな陽を浴び目を覚ましたのはコウガ。
瓦礫の下敷きになっていた彼は村人に救出され此処に運ばれた。
周りを見回すと、4つのベッドがあり、その内の2つにレオンとリオンの姿がある。
「やっと目が覚めたか。このまま目を覚まさぬものかと思っておったぞ」
頭痛に顔を歪めると、背後からの女性の声に振り返る。
其処に居たのは赤髪の少女。
机に広げた難しそうな本を読んでいたようだ。
「セルビア……?」
彼女を目にした瞬間、名を呟くコウガだが、何故か語尾に疑問符をつけた。
確かに、彼女の事は知っている。
リオンの知人で、他者の力を手にする虹の瞳を持つ少女。
だが、目の前の少女のその瞳はエメラルド。
ふんわりとした赤い前髪はパッツンで、以前隠していた左の瞳を露わにする。
「久しいな、と言うべきか?」
別人かと疑問を抱くが、この大人びた独特な口調に雰囲気、セルビアに間違いないだろう。
「すまぬ、記憶がないのだよ。一時の記憶がな……」
「俺達の事を覚えていないと……?」
謝る彼女に問いかけると彼女は肯定の意を表すように首を縦に振る。
「瞳を失った反動だと思うのだが、はっきりとは我とてわからぬ」
「その瞳って……」
「あぁ、これは義眼だ。親切な民が造ってくれたのだよ」
左目に手を添える彼女。
何者かに襲われ、虹の瞳を潰されたと言う。
虹の瞳を失うと共に記憶も失い、更に力も失った。
微かな治癒の力は使えるらしく、6人の治癒をしてくれたようだ。

