息をしないシエンの冷たいその頬を優しく撫でるリオン。
何時の間にか青と銅に戻っていたその瞳で上空を睨む。
5階の廊下には、ローブを身に纏う3人の姿があった。
銃を構える人物と傍に付き添う人物、手すりに腰掛け矢を放つ人物はコウガ達の足止めをする。
銃を構える人物、ライアを睨み続けるリオンは落ちていた短剣を手に取った。
それを握り締める彼を見下ろすライアは首を傾げる。
何をするつもりなのか、全員が見守る中、彼はその短剣を自分へと向ける。
「リオン様!?」
刃を見つめる彼の真意に気づきイースは飛び出すが、目の前に放たれた矢に足止めされる。
「…初めからこうしておけば良かった……そうすれば、誰も苦しむ事も…死ぬ事も、なかったのに……」
悲しそうな顔をした彼は短剣を力強く握り締め、意を決したようにその刃を突き刺した。
レオンに腕を掴まれるイースは悲鳴を上げ、コウガは悔しそうに唇を噛む。
暴れるイースを止めるレオンは目をそらし、見下ろすライアは舌打ちをする。
「…っ……」
左目に短剣を突き刺したリオン。
彼は未来を視る青の瞳を駄目にするとその瞳から刃を引き抜いた。
辺りに血が飛び左目から多量の血液が溢れ出る。
「この瞳を利用しようとするのなら、例え命を失ってでも、それを阻止します……」
彼は神の瞳を利用されないよう、その瞳を潰し使えなくしてしまった後、命を絶つつもりである。
再び短剣を握り締めると次は右目を潰す為刃を向けた。
何の迷いもなく瞳を潰そうと刃を突きつける。
しかし、銅の瞳と鋭い刃の先端があと数ミリとなった所で、その刃は動きを止めた。
「もういい、もういいから、リオン……」
彼の腕を掴み止めたのはコウガ。
何とか敵の攻撃をすり抜けて来たコウガはギリギリの所で彼を止め、優しく声をかけると短剣を奪い取った。

