迷っているのか、揺れる瞳をリオンからそらし、顔を背けるシエン。
そんな彼女だが、何かに気づき伸ばされた彼の腕を掴み引っ張った。
諦めかけていた彼は突然の事に驚き、バランスを崩して膝を折る。
座り込んだ彼とは反対に立ち上がる彼女。
2人の位置は入れ替わり、先程リオンが居た所にシエンが立ち、シエンが居た所にリオンが座る。
リオンが膝をついた瞬間、鳴り響く銃声…
小さな呻き声…
反射的に振り返ると、その瞳に映るのは肩から血を流すシエンの姿。
自分を護るように立つシエンの姿を確認した瞬間、二度目の銃声が鳴り響く。
銃声が響いた瞬間、彼女の胸に空いた風穴。
リオンに優しく微笑む彼女の胸を、その銃弾は一直線に貫いた。
「ぅっ……」
「シエン!」
血を吐き倒れ行く彼女を受け止めたリオンは苦しそうに息をする彼女を抱き締める。
血を止めようと背に回した手で傷口を塞ぐが、止めどなく溢れ出る血を止める事はできない。
両手を血で染めながら、動揺する彼から少し身を離すシエンは優しく微笑み手を伸ばす。
「ごめん、ね…リオン……ごめん……」
頬を撫で虚ろな瞳で言う彼女は涙を浮かべ、彼女を見つめるリオンはその手に触れる。
「…貴方に、酷い事…ばかり、して……貴方の、苦しみに…気づいて、やれなくて……ごめんね………」
何とか言葉を紡ぐ彼女の頬を伝う涙。
耐えかねたのか次々に頬を伝って行く。
何度も誤り続ける彼女を見つめるリオンは首を振る。
涙を流しながらも微笑むと、彼女はそっと彼の額に唇を落とす。
「…大好きだよ、リオン……」
薄れ行く意識の中、彼女は最後に呟くと、冷たい床の上に倒れて行った。
「…シエ、ン…?……シエン…姉、さん……姉さん……!」
添えられていた掌が頬から離れ、彼女の言葉を耳にした彼は絶望に目を見開く。
何度も彼女の名を呼び揺さぶるが、目を覚ます事はない。
彼女の身体から溢れ出る血液は血だまりを作り、眠るように横たわる彼女の肌に触れるリオンは悲痛の叫びをあげていた。

