「…しかし、2人が私に向けるのは憐れみの瞳……
神の瞳を受け継がない私に対する、哀れな者を見つめるようなその瞳を、何時も何時も、何時も何時も私にーー」
「違うんです」
真実を知り動揺する彼女の言葉をリオンは遮る。
そしてとても悲しそうにこう言った。
「僕なんです、その瞳を向けられていたのは……」
と…
話について行けない様子の彼女は何も言えず、只々彼を見つめ続ける。
2人の両親が向けていた憐れみの瞳はシエンではなく、リオンへと向けられていたのだと言う。
揺れる瞳を見つめる彼は、どうみても嘘を吐いているようにはみえない。
「神の瞳を持つ僕を、2人は何時も悲しそうに見つめていました。可哀想な子供だと、哀れな子供だと……
2人は、この瞳を受け継ぐ者を望んでいなかった。自分達のように辛い思いをさせたくなかった……否、この力のせいで、人々が争い、血を流す事を恐れていたから……
だから父様は、僕を殺そうと何度も刃を握り、それを止める母様はこんな僕の為に涙を流し続けた。
2人の涙を見る位なら、いっそのこと、殺して欲しかった。死んでしまえば、貴女をこんなに苦しめる事もなかっのに……」
「そん、な……」
彼の話に信じられないと首を振るシエン。
彼の話が真実ならば、自分は何て愚かな事をしてしまったのだろう。
弟の心の傷に気づいてやれず、彼を孤独にさせた自分は、何て馬鹿げた事を…
自分の犯した罪に気づき、その恐ろしさに身震いする。
「こんな思い、僕だけで十分です。だから……」
罪の意識からか目をそらす彼女に再び手を伸ばす。
差し伸べられた小さな掌を見つめ、顔をあげると純粋な瞳とぶつかった。

