「常に様々な過去や未来が視え続け、膨大な知識が頭に流れ込む。
絶えない激痛と嫌悪感、視たくない過去や未来まで視えてしまう、それが神の瞳の本来の力なんです」
淡々と語るリオン。
彼の言う事が事実なら、今彼女が受けている苦痛を彼自身が受けていたと言う事になる。
十数年もの長い間、絶えない激痛に襲われながらも、彼は平然を装っていた。
「貴女にこんな思いさせたくなかった……シエン、その瞳、返してもらえませんか?」
「何を言う!?これは私のものだ!私のものなんだ!」
座り込むシエンの前に立つリオンは悲しそうな瞳で言い手を伸ばすが、彼女はその手を払いのける。
「シエン、お願いです」
「黙れー!」
困ったように眉を寄せると、苦痛に顔を歪めるシエンは隠し持っていた短剣を手に取り声を荒げながら斬りかかる。
傍にいたイースはリオンを護る為立ちはだかるが、体力の尽きた彼女は簡単に突き飛ばされ、柵を越え二階から落ちてしまう。
邪魔者は消え、身動き1つ取らないリオンへと襲いかかるシエンは短剣を振るう。
だが、その短剣は彼には刺さる事はなかった。
「…っ…放せ!」
「駄目だ。貴女が手を汚してはいけない」
彼女を止めたのはコウガに捕らえられていた男ウィズ。
コウガの元から逃れた彼は彼女の腕を掴むとリオンから離す。
「邪魔をするなー!」
「…っ……!」
暴れる彼女は短剣を放そうとはせず、頭に血が登り無闇に短剣を振り回す。
男の唸り声にふと目を開けると、荒い息を吐きながら悲しそうに自分を見下ろす男の姿が目に入る。
何か生暖かいものに触れ、視線を下げると、彼女の瞳に映ったのは真っ赤な鮮血。
暴れていた反動で握っていた短剣が男の胸を貫いていた。

