塔の下階では、鋼同士がぶつかり合う金属音と銃声が鳴り響く。
「ウィズ、前方から剣戟。後に右手からの鋭い突き」
男に斬りかかるコウガ。
前方から攻撃を仕掛け、振り下ろした剣を弾かれると素早く剣を引き腹部を突く。
しかし神の瞳で未来を視たシエンにより予知された攻撃は簡単に防がれてしまう。
しかし、コウガの攻撃はそれでは終わらなかった。
剣を突き出した状態から彼は剣を横に振る。
バランスを崩しながらも繰り出した攻撃。
床を転がり立ち上がると、腹部を斬られた男の姿と動揺するシエンの姿が目に入る。
未来が視えた筈なのに、今の攻撃は予知できなかった。
何故なのか、数回まばたきを繰り返すと左目に激痛が走る。
痛む左目に手を添えると、再び視えた未来を告げる。
「…ウィズ、前方からの突き、右下からの剣戟、足元への剣戟、再び……」
彼女の言葉通り、男との距離を縮めたコウガは胸に突きを繰り出し弾かれた瞬間右下から斬り上げる。
身を捻り交わされると身を屈め、足を狙って剣を振るう。
床を蹴り距離を取る事によって交わした男だが、数歩下がった所で動きを止め、自分の首へと目を向けた彼は剣を手放した。
と言うのも、彼の首に鋭い剣が突きつけられていたのだ。
直ぐに常態を整えたコウガは、様子のおかしいシエンを見上げ隙のできた男の首に剣を突きつける。
素早く振るった剣をギリギリの所で止め、鋭く睨むコウガに抵抗する意志はないと手を挙げた。
神の瞳にもついていけないスピードで攻撃を繰り出し続けたコウガ。
彼女が詠んだその先を行く攻撃。
素早い身のこなしに無駄のない剣裁き、きれる頭脳が勝利したという事だ。

