掲げた斧の刃が煌めく中、虚ろな瞳のアリューはクレアを見下ろした。
血を吐き肩で息をする彼女の首を落とす為、迷いもなく振り下ろす。
「……?」
確実に振り下ろした筈なのに、膝をつく彼女は悲鳴もあげず、血も舞わない。
首を傾げるアリューは自分の右腕へと目をやると、斧を掴む腕はそこには無く、肘から下が地に転がっていた。
顔を伏せるクレアの左手に握られる鎌
何時の間にかアリューの腕を斬り落としていたクレアは血のついた唇を舐めると、首を傾げ右腕を見つめるアリューを下から斬り上げた。
状況を把握できていなかったアリューはその攻撃を受け、横腹から肩まで斜めに斬り裂かれる。
アンドロイドの為血は流さないが、肉体を裂かれふらつく彼女は後退り、そのまま背中から倒れ行く。
倒れた場所が悪く、彼女の胸を鉄の棒が貫き、遂に動かなくなってしまった。
虚ろな瞳を開けたままの彼女の髪を掴み鉄の棒から引き抜くと、クレアは彼女を投げ捨てる。
彼女が飛んでいった先にはマットの姿があり、壊れた彼女は彼の前に転がった。
マットを睨むクレアの瞳は血のように赤く染まり、掌の血を舐めとる仕草は恐怖を覚える。
「これはマズい……カンナギ!撤退だ!」
ずり落ちた黒縁眼鏡を押し上げ言うとアリューを掴み急いで姿を消す。
「うぅ……」
突き飛ばされ家屋に突っ込んだナギはマットの声に意識を取り戻す。
頭を振って覚醒すると、自分の下敷きになっているカンナの姿が目に入った。
「カナ姉!しっかり!」
意識を失う彼女を抱き起こし揺さぶるが目を開けない。
心配そうに抱き締めていると、鋭い刃が瞳に映る。
顔を上げると、刀の刃先を2人に向け、冷たく見下ろすジークと目が合った。
「クッ……今度会った時は手加減しないからな!」
悔し紛れに言葉を吐くと、気絶するカンナを抱き締め姿を消す。
見下ろすジークは止める事なく、2人を見逃すのだった。

