Blood†Tear


 「普通の一般市民では、何人集めようが何の戦力にもならないか……」


顎に手を添え呟くマットは屋根の上に居た少女達が立ち上がるのを確認する。


カンナの手を引きながらナギは屋根から飛び降りる。


リンと髪飾りの鈴を鳴らしながら人波の中に姿を消す2人を見送ると、マットは傍に立つ薄汚れたワンピースを身に纏う金髪の少女を見下ろした。




 「アリュー、行け」


短くそう言うと少女は主の命ずままに、戦禍の中へと駆けて行く。

彼は1人、戦闘には加わらず離れた所で観察を続ける。





的確な攻撃、無駄のない動き。


何十人もの敵を相手にしながらも怪我1つ負わず、涼しい顔のジークは残り少なくなった敵から一度距離を置くと刀を握り直す。



深く息を吐き弾んだ息を整えると、彼は何かに気づき咄嗟に横に跳ぶ。



地を蹴った瞬間彼の真横を分厚い刃が通過し、振り下ろされたそれは先程まで彼が居た地面の土をえぐる。



横に跳びながらその攻撃の主へと目を向けるが、地に足をつけた瞬間再び分厚い刃が彼を襲う。



背後から突くように繰り出された攻撃。


瞬時に反応し着地と同時に膝を折る。

身を低くした彼の上空を刃が通過。



乱れた藍色の髪が刃に触れ風に舞う中、身を屈めた彼は刀を横に振り背後の人物に攻撃を仕掛けるが、その攻撃は弾かれる。





状況が悪すぎると、地を転がりながら片手で反動をつけ立ち上がると遠くへ跳ぶ。



距離をとったジークは刀を構え直し、現段階の状況を把握する。





 「貴女達は……」


彼の目に映ったのは、巫女装束を身に纏う少女2人。


薙刀を手にする2人とは以前出会していたジーク。


悪戯な笑みを向けるナギと構えるカンナ。


ジークは2人を鋭く睨むと意識を集中させた。