屋根の上から見下ろすのは、巫女装束を身に纏い艶やかな黒髪を1つに結った少女2人。
動く度、髪飾りに付けられたら鈴が音を鳴らす。
「後ろから攻め入るつもりだったのに、ばれちゃうとはね」
「仕方ないよ。でも、分断させられて良かったんじゃないかな」
作戦が駄目になったと黒い瞳を細め爪を噛む少女ナギと、柔らかく穏やかな物言いの少女カンナ。
性格は正反対のようだが顔は瓜二つ。
何処からどう見てもそっくりで区別のつけようがない。
2人の右手、村の入り口付近に居るのは、乱れた茶髪に黒縁眼鏡、少し汚れた白衣を身に纏う男性、マット・ディレクト。
両手をポケットに突っ込む彼は、隣に金髪の少女を連れる。
薄汚れたワンピースを身に纏う彼女は虚ろな灰色の瞳で何処か一点をただ呆然と見つめていた。
ジーク、クレアの2人を囲む50人の敵は武器を掲げ襲いかかる。
剣で斬りつけ銃を撃ち、斧を振り上げ矢を放つ。
一気に10人を相手にするクレアは鎌を振るいながら疑問を抱く。
襲ってくる彼等だが、いとも簡単に倒せてしまう。
まるで戦闘経験のない一般市民。
何の手応えのない彼等を突き飛ばし後ろのジークをチラリと盗み見る。
彼は一人一人的確に仕留めるが、全員峰打ちで気を失わせているだけだった。
「気づいていると思いますが、彼等はこの村の住民、操られているだけですので、殺さないで下さいね」
クレアの視線に気づいたのか、放たれた矢を切り捨てるジークは手を休ませる事なく言う。
「…わかってる……」
無駄のない動きに驚きながら彼女は呟くと、振り下ろされた剣を弾き鎌の柄で打撃を与える。
なるべく相手に深手を負わせず戦う2人。
その様子を観察していたマットは頭を掻き、屋根の上で高みの見物を決めていたナギとカンナは呆れたように溜め息を吐く。

