林から抜け出し、リオンの故郷、ナティス村に足を踏み入れたコウガ達。
レオンの肩に乗っていたイースは彼から降りると、村の奥にそびえ建つ塔を指差した。
「リオン様はきっと彼処に……急ぎましょう」
今度は間違えずコウガの腕を取ると塔に向かって駆け出すイース。
彼女の後を追うコウガ達は、村の異変に気づき怪訝な顔をする。
陽は昇ったばかりだが、村の中に人影は見えない。
並ぶ家屋の中にも人の気配を感じる事はなかった。
もう此処には誰も住んでいないのだろうか。
神の瞳を頼りに生きてきたこの村の人々。
崇めていた神の遣いを突如失い、彼助言に頼りきっていた村人達は混乱し、この村から逃げ出したのだろう。
「お前っ、急に止まるなよ!」
そんな事を考えていると、後ろからレオンの怒鳴り声がした。
何事かと振り返ると、道のど真ん中に座り込むクレアの姿が目に入る。
突然前方を走る彼女が座り込んだ為、レオンはぶつかりそうになったようだ。
「…お腹、空いた……」
ボソリと呟くクレア。
彼女の腹は空腹の音を鳴らす。
「燃料切れですか」
「こんな時に何なんだよ」
「今は食料は持ってないしな……」
呆れたように溜め息を吐く。コウガは何かないかと辺りを見回すが、食料になりそうなものは見当たらない。
「いいから行きましょう!」
空腹で動けない様子の彼女に頭を悩ますが、急いでいるイースはお構い無しに先へと進む。
仕方なくクレアを置いて行く事にし、イースを追い先へ進むが暫くして今度はジークが立ち止る。
「ジーク?」
「あぁすみません、先に向かっていて下さい。彼女を心配している訳ではありませんが、ちょっと様子を見てきます。直ぐに後を追いますから心配なさらずに」
「そうか、クレアを頼む」
足を止めたジークを不思議に思いながらも、此処で彼とも別れる事にする。
ジークはヒラヒラと手を振り彼等を見送ると、真剣な面持ちで後方を振り返るのだった。

