秘密のニオイは禁断の恋

「他にも家庭の事情で大変な目に合っている生徒もいるかもしれん…伊藤先生の生徒を思う気持ちは素晴らしいが…」


俺は隣にいる竹下の気持ちを考えながら、もう1度、理事長にお願いをしようとした


「でも、それは学校の方針を変えれば…」


俺は理事長に詰め寄った


「もう決まったことだ。とにかく、今月の月謝は今週中に納入しなさい」


理事長は俺じゃなく、竹下を見てそう言った


「はい」


竹下が下を向いて小さな声で答える


俺は竹下に、適当なことを言ってぬか喜びさせただけで、辛い現実を与えたのか?