「駆け引き好きよねぇ、あんた」

「恋の醍醐味だろうが」

「それで逃げちゃったら意味ないけどねー」


付き合いが長いだけ
オレのことを知りつくしたこの女が
今日ほどムカついたことはないだろう。


別れて正解だ。


あいつにはこうならないようにしてもらわないとな。


「ま、早く自己解決してくださいね。

尻ぬぐいは大変なのよ」


いろいろミスしまくってんだから……と止めを刺して。


由莉香はオレを残して去っていった。


「お仕置きされたの……オレかなぁ?」


白く揺れる煙の向こうにアイツの顔を思い浮かべながら呟いた。


今日の煙草の煙は
いつもより胸にも目にもしみて仕方なかった。