「大っきらいは……ウソでも痛い……らしい」


ジクジクする胸。
イライラする原因。

いや、そもそも他の男と手をつないだり
プリクラとったり
しゃべったりってのも嫌なんだけど。

それでも本人に真正面から『大嫌い』と言われると。

受け止めるのが精いっぱいというか。
否定するのに必死というか。

落ちつけというか。
頑張れというか。


おい、オレ。


ほんとにウザいくらい女々しすぎだろうが。


「ウザ」


こいつ、絶対会社出たらシメてやる!!


「好きって言えばいいじゃない、ほんと素直じゃない」


呆れたような視線を投げて
由莉香はため息をついた。


「言いたくない」

「なんで?」

「意地悪だから」


言いたくない。
言いたくない。


好きだなんて真正面から真面目くさって言いたくない。


ガキだな、オレ。