「って……オレ、メールおまえには出してないけど」


そうだよ、落ちつけよ。
オレ、由莉香におどされるようなメールなんて送ってない。


「そうね、『私』は貰ってないわよ」


ニッコリ。

悪魔はほほ笑み続ける。

その笑みに背筋の毛が一気に逆立った。


「気付いた?」

「気付いた」


そう、由莉香には送ってないけど。


「昌史先輩には送った」

「大正解~」


先輩のバカ野郎!!

あれほど由莉香には内緒にしていてくれって言ったのに!!


「内容、ここで吐く?」

「いや、いい」


昌史先輩に『愚痴聞いてもらった』んだ、オレ。

こんなに想ってるのに、どうして気付かないんだとか。
いろいろ、相談してたもんなぁ。

ってガキすぎるだろ!!


「ちなみにあんたへのアドバイスは昌史からじゃぁないのよ」

「は?」


由莉香は意地悪く笑って見せ、鼻先に人差し指を立てる。


「私よ、わ・た・し」