文化祭なんてものに来るのはいつぶりだろうか?

とはいえ、スーツ姿のいい年の男が一人で校内をぶらぶら出来るわけもなく。

オレは一人校舎の屋上にいた。

ポケットから煙草を取り出し、くわえる。

いや、ここ学校だから、これはまずいのか?

胸の中で軽く舌打ちしながら、それでも煙草は戻さなかった。

火のつけられないままの煙草を口で弄びながら、下を見る。


「いいねぇ、青春だねぇ」


こうやって学校の敷地内に入ると、自分が物凄く場違いなところにいる気がして落ちつかない。

やだねぇ、オレ。

年はとるもんじゃない。


「にしても……あいつはなーにしてるんだか」


知っている顔が中庭の芝生に座りこんでいた。

その隣に男が座る。

ああ、そこ、オレのポジションなんだけどねー。

でも今は我慢。

なんでも文化祭の目玉イベントの主役たちなんだ。

青春、青春。

思い出、思い出。

思い出は壊したらダメだ。


陽菜子はああ見えて、結構根に持つたちだからな。