もし会いにきてくれたら、もう離さない



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忙しなく歩く人の群れ。



交差点の真ん中で立ち止まるなんてこと、許されないんじゃないかと思うほど速い人の流れ。


眩しい街の明かりが、余計に寂しくさせる。



毎日鳴ってた紗智からの電話も、このところ途絶えている。


自分がそうしたことなのに、どうしようもない空虚感が襲う。



紗智を可愛がる幼かった俺を見て、母さんが言った。




「恭介は、妹が欲しかったのね〜。」




ああ、そうなんだ、と思った。


妹がいたら、こんなに優しい気持ちになれるんだ、一緒にいるだけで、幸せになれるんだって、単純にそう思ったんだ。







自分の紗智への気持に気付いたのは高校の時



紗智が、俺以外の男と一緒に仲良く話すのを見た時、そいつを殴りそうになった。



紗智がそいつに笑いかけるのが嫌でたまらなくて。



その時付き合ってた彼女を無理やり抱いた。



紗智が俺に抱いている感情はきっと、俺のそれとは違うって、わかってたんだ。




たまたま近くにいた優しいお兄ちゃん、それが俺で、単なる憧れの、その対象になった、ただそれだけのことなんだ。







会うたびに綺麗になる紗智を前に、自分の気持を悟られないようにするために必死だった。



紗智の世界はまだ小さくて、これから大人になる紗智をしばっておくことなんて俺にはできない。




挙句の果てに修にまでヤキモチ妬くなんて、どうかしてるだろ。