走って向かった両替の機械の前で、恭ちゃんの財布からお札を取り出そうと、財布を開いた。
「…っ」
財布の中に貼られたプリクラ。
ぜったいどっかに貼ってねって、無理やり約束させた去年の夏。
…約束、守ってくれてたんだ。
「あれ〜紗智じゃん。」
彼氏と手をつないだ友達にばったり会ってしまうなんて、なんてタイミングが悪いんだろう。
私が恭ちゃん一色だって、ばらされたりしたら、せっかく戻りかけた、恭ちゃんとの空気がまた変わっちゃう。
「あ、もしかして、修のお兄さんですか?」
「紗智の友達?」
ハラハラする私をよそににっこり笑顔で自己紹介してる友達。
「ね、ほら、彼氏が退屈そうにしてるよ?早く行ってあげたほうが…。」
急かしてやっと、恭ちゃんから離れた。
「ちょっとちょっと、あんなイケメンだったっけ。紗智、すごい。」
「別にすごくないよ。彼女なわけじゃないもん。」
「ライバル多そう。」
「…ライバルだとも思われてないよ。」
こそこそ話す私たちの後ろで、急に湧きあがった拍手。
「よっしゃ〜、取れたぞ、紗智!」
笑顔で手を振る恭ちゃんが、私に駆け寄る。
「ほら、大事にしろよ。」
「……」
「いらないのか?」
「…これの隣にあったやつも可愛かった。」
そう言えば、『また来年な』って言ってくれる気がした。
そう言って欲しかったのに。
「これで我慢しろよ、な?…来年は帰って来られるかわかんないし。地元帰って高校生とゲーセン来るほど暇じゃないの、お兄さんは。」
私の胸騒ぎは的中した。

