「あれやろうぜ。」
恭ちゃんが歩く先にあるのは、コインを入れてアクセサリーを落とすゲーム機。
「…恭ちゃんこういうの苦手じゃん。」
「まかせとけって、どれがいい?」
「お金いくらあっても足りないよ?」
「社会人なめんなよ。プリクラの変わりにプレゼント。」
四つ葉のクローバーのネックレスを見ていた私に気付いた恭ちゃんが、狙いを定めた。
「絶対ゲットしてやっからな。」
積み重なったコインがどんどん減っていく。
「ねぇ、恭ちゃん、もういいよ。」
「今、声かけんな。」
真剣な表情で、機械に向き合う恭ちゃんがあんまり真剣で、何も言えなくなってしまう。
恭ちゃんの後ろで、手を組んで見守る。
…あ、もうちょっと…。
「お、来たっ!」
喜ぶ恭ちゃんをよそに、あと少しと言うところで、落ちてしまう。
いつのまにか最後のコインも使い切ってしまった。
「恭ちゃん、もういいよ。また今度…」
突然投げ出された財布を無意識にキャッチする。
「両替して来い。俺ここにいるから。他のヤツに取られたらシャクだしな。」
こうなったら、もうとことん付き合うしかない。
自分の為に一生懸命な恭ちゃんに、嬉しくないわけないのに、なぜか、胸騒ぎがする。
恭ちゃんと過ごす時間が、もしかしたらこれで最後になるんじゃないかって、
最後にするつもりなんじゃんないかって、そんな気がしたんだ。

