もし会いにきてくれたら、もう離さない



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プリクラの張ってある手帳を胸にしたまま、いつの間にか陽射しがてっぺん近くに昇っていた。



母さんが仕事に出かけたらもう家に一人きり。



四角い枠の中で、笑ってる恭ちゃんと私。




去年の夏、面倒くさいと言いながら、出来たばかりのゲームセンターに付き合ってくれた。





『デートだね』って言ったら、『こんなのデートの内に入んねぇ』って、照れながら言った恭ちゃん。




頭の中が、恭ちゃんでいっぱいで、処理しきれない昨日の出来事がそれに重なる。




私がもっと、大人だったら変わったのかな。

恭ちゃんの寂しさを埋められるくらい大人になれたら。





あのまま恭ちゃんと、そういうことになったなら、恭ちゃんは私を好きになってくれるのかな。




だけど、…その勇気が持てなかった。


触れたいのに、触れられると怖くなる。




どうしたらいいのかも、何を言えばいいのかもわからないのに、このまままた会えない日が続くことだけは嫌だ。



明日ごめんなさいが言えない距離。



遠いんだ、

私と恭ちゃんの距離みたいに。





ベッドから降りたら、携帯が床に落ちた。



短く鳴ったメロディが途切れて、点滅するメールの合図。



…修からだ。




「……っ」





恭ちゃん、東京に戻ったんだ。