「えー…まずは、挨拶と自分の名前、やんな。」
とりあえず、はじめまして、瀬戸優也です。と書いてみた。
その瞬間、真っ白な紙が急に現実を帯びだして、自分でも驚くくらいすらすらとペンが進んだ。
気づいたらはがきは黒く埋め尽くされとって、俺はなんだか満足感でいっぱいやった。
読み返してみたら、サッカーのことも、足のことも、触れたくないはずやのに、なんでか俺はありのままを書いとった。
せやけどなんでか後悔なんてのはなくて、不思議な気分やった。
それよりも、初めて書いた手紙が誰かに届くことが嬉しかったんや。
俺はそのはがきをおかんに頼んで早速ポストに投函してもうた。
おかんに『誰に出すん?あんたこんな遠くに友達おったけ?』
とか色々聞かれたけど、俺は全部聞き流して自分の書いた手紙の内容を思い出しとった。
そんな俺を、おかんは久しぶりに楽しそうやねって笑っとった。
