ハシゴを降り終えた私達は、小部屋にたどり着いた。そこに人影はなく、暗くて寒々しかった。

「電気のスイッチがあったよ。明かりをつけるね。」

玲が入り口の近くにあったスイッチを押すと、室内はまるで、息を吹き返したようにパッと明るくなる。

部屋の中央には、テーブルとイスが中心を囲むように並べてあり、イスには全て「Sit down」と血文字でかかれた紙が張り付けられていた。

「これも…、ハデスの命令なのかな?」

私はそう言うと、イスやテーブルを隈無く調べる。

「何もないみたい。みんな、座ろ。」

何も異常が無いことがわかると、私たちは次々にイスに掛ける。皆が座った瞬間、室内に取り付けられているスピーカーからは、不気味な電子音が聞こえてきた。

しばらくして、電子音は不審な声に変わる。その声は、教室で聞いたハデスのものだった。

「私の命令に従い、ここに来た賢明な諸君。改めて歓迎しよう。私は、この地を司るもの、ハデス。ここは、恨みを残して死んでいった罪人の怨念の根源、小宮森特別刑務所。大罪を犯したたくさんの死刑囚は、ここで無残な刑を執行させられた。お前たちには、その悲痛な処刑を味わってもらう。しかし、やり方次第では、生き残ることもできる。誰を犠牲にし、誰が生き残るのか、決めるのはお前たちだ。各部屋には、処刑器具が置いてある。処刑が終われば、次の部屋へと続く扉が開く。制限時間まで処刑せずにいると、次の扉のカギは開かず、お前たちは永遠に、その場所から抜け出せなくなるだろう。お前たちが入ってきた入り口は、既にカギがかかっている。もう戻ることは出来ない。さぁ、死を味わうがいい。処刑開始だ。」

その命令は、私たちを強い恐怖へと誘う。