「沙南!!」


校門で待つ沙南の元に俺は走った。


「翔ちゃん遅いよ~」

「ごめんな、ちょっと友達に捕まっててさ」

「まぁいいけど。帰ろ♪」


俺はいつもの道を沙南と帰った。

沙南は俺の隣でいつも笑ってる。


けど、沙南の気持ちが俺にないのは分かっていた。

沙南にはつらい過去があるから。


「もうすぐ沙南の誕生日だなぁ」

「あー…」

「日曜日だよな。
どうやってお祝いする?」


心なしか、暗くなる沙南。


「…ごめん翔ちゃん。
お祝い違う日にしない?」

「えっ…?」


俺は、一瞬耳を疑った。

沙南が、彼氏の誘いを断ったんだ。


大事な用があるのだと言う。

彼氏の俺よりも大事な用。

俺は気になってたまらなかった。