その時電車が


ガタン、と音をたてたと同時に


私の体も揺れて隣の人にぶつかってしまった。




「あ、ごめんなさい。」




軽く頭を下げ私は隣に居た人を見た。



その瞬間、


私は時間が止まったような気がした。



私の中の何かがビビビッと電気を浴びる。




「あ、いえ。大丈夫ですよ。」




その人はニコッと笑う。



加速する鼓動。



ぶつかった肩が急に熱くなる。



私はその人から目が離せなかった。



その人は優しく包み込むような茶色の髪で


幼いような可愛らしい顔をしていた。



ブレザーの制服を上手に着こなし


スラッと背が高く


思わず見とれてしまうような……


そんな人だった。




「どうかしましたか?」




ずっと見ていた私を変に思ったのか


首をかしげた彼。




「あ、いえ。」




私はすぐ彼から目を離し俯いた。