それから走って学校へ。




「みんなー、やったよー!」




教室に入った瞬間大きな声で叫んだ。




「何々?もしかしてあの彼!?」




わいわいと私の周りに集まってくる。




「うん、うん。」




私は大きく頷いた。




「もしかして、付き合うことになった!?」




そこへ紫音が興奮気味に聞いてきた。




「え?付き合うって……、全然そんなんじゃないよ。ただ自己紹介して名前呼んでもらったの、美紗ちゃんって。」




私は思い出すように言った。



初めて名前のありがたみが分かった。




「はぁ!?ありえない!それだけでそんあ喜んでるわけ!?」




紫音がそう言って叫んだ。




「え?ほんとに?なーんだ。」




そう言いながらみんなが私から去っていく。




「そ、そ、それだけって……私にとってはすごーく大きなことなんだから!」




だって、彼としゃべったんだよ!?



それってすごい事だよ。




「そうだよね。よかったね、美紗。」




そこへ姫の声がした。




「うん、うん。さすが姫!私の気持ちを分かってくれるのは姫だけだよ!」




私は嬉しさで姫に抱きついた。




「えへへ、大袈裟だよ。で、どうだったの?」




「そうそう、私もそれ聞きたい!」




姫と紫音が私の話しに期待の目で耳を傾ける。




「あ、うん。東高の佐々木爽麻君!」




私は満足げに答えた。