1センチの距離


「イーチーイー!」


「嵐士!?」


「お前は景品係の他に,アシスタントの仕事があるやろーが!」


壱依の背後から声を掛けてきたのは受付をしていた嵐士。



「「……」」


「ちょっと嵐士!声が怖いよ!」


杏と棗の呆然とした姿を見て,注意する千夏。


「あ……すまん」



「……ふふっ」

「ぁははっ」


嵐士が頭を下げると,杏も棗も笑いが込み上げてきた。


受付の時とのギャップが面白かったのだろう。



「……ぁ,自分ら景品まだ選んでなかったん?」


「ぁ,はい」

「どれもかわいかったんで」


「そぅか……でも,他の店とか廻らんでええん?」


「あ!」

「忘れてた!」