1センチの距離


「お2人さん,景品は何にします?」



杏と棗が後ろを振り向くと,金髪ピアスの男の人が立っていた。


「イチ!この子らの見てた?」

「もちろんや!」


千夏に“イチ”と呼ばれ,喋っている2人を見つめる杏と棗。


「……っと,俺は犬飼壱依(イヌカイイチイ)。千夏と同い年で,景品贈呈係ね」


壱依の自己紹介に杏と棗は顔を見合せた。


そして,千夏にしたように軽く自己紹介を交わした。



「イチイチ,杏ちゃんと棗ちゃんにはサービスなんだからね!」

「はぃはぃ,チーネの決定事項ね」



「……お2人は付き合ってるんですか?」


千夏と壱依のやり取りに,杏が質問してみた。


「「まさか!」」


2人同時に即答。


その声に杏も棗も驚くが,そんな2人にお構い無しに話しだす2人。



「イチとは腐れ縁なだけ。大体,あたしはハルってゆう素敵な彼氏がいるんだから!」

「そうそう,俺がチーネみたいな女と付き合えるわけないしな!」


笑いながら言う2人に“そぅなんだ”と納得する杏と棗。