海は、この日先生に呼び出され、帰るのが遅くなった。職員室から出て、廊下を歩いていると、向こうの方から遥斗が歩いてきた。海は、一瞬足を止めた。遥斗がだんだん近付いてくる。
そして、遥斗とすれ違った。
「あっ・・・・」
海は悲しくなった。遥斗は何も言わず、自分の横を通り過ぎっていった。
《遥斗・・・・・》
海の目から涙が出てきた。
「う・・・・ひっ・・・・」
その場に泣き崩れた。



廊下に海の泣く声だけが響いていた。