「ごめん。俺のせいで」
遥斗が必死なのが伝わってきた。海は、遥斗にだきしめられ、ただ泣いていた。遥斗はだきしめる手に力を入れた。
「怖い思いさして、本当にごめん。守ってやれなくてごめんな」
遥斗は言った。海は、その気持ちだけで嬉しかった。



それから、しばらくして落ち着いた海に遥斗は言った。
「その三人って誰?名前分かる?」
「名前は分かんない。遥斗、もういいから。何もしないで。私、大丈夫だから。お願い。もう関わりたくないから」
海は言った。
「分かった」
遥斗は分かってくれた。
大袈裟にしたくなかった。遥斗にチクったとまた何かされそうで怖かった。


海はそのまま、遥斗に送ってもらい家に帰った。

その日の夜、メールがきた。
【本当に大丈夫か】と。
海は送った。
【大丈夫。それより、なんで今日、教室で待ってろとか言ったの?】と。
返事はこうだった。
【深い意味はない。また、いつか言う】
海はすごく気になった。
【そっか。分かった。今日は、いろいろありがとう】
海はそう送信した。


ケンカ友達から特別な存在に変わった瞬間だった。


海の中で何かが大きく変わろうとしていた。