特別な言葉なんていらない



茜は3歳年上の男と付き合っとった。

そいつは俺様的なやつで、酒癖も悪く何かと警察沙汰も多かった。

けど茜にはちゃんと愛情を注いどった。

しかしその愛情は本当の物ではなかった。


ある日茜が彼氏に連れられて行った場所に、

4、5人の男がおった。

彼氏はその男達の元に茜を連れて行き、
その中の1人から金を貰うと颯爽と走り抜けていった。

茜はその男達にまわされた。


つまりは彼氏に売られた。

大好きやった彼氏に売られた事実は、茜に重くのしかかった。

あの日以来、その男は行方不明やった。


茜はあの日、自殺をしようと決めてあの場所に立っていた。

大好きな空を見つめて。


そんな時、俺が通りかかった。

そして自殺を止めた。

俺は茜に惚れた。

けど、茜には俺の声は届かない。