「ハル。」

長ったらしい話しを終え校長室から出る。
靴箱の横にある駐輪場に見えた小さな人影から声がした。

明だ。


「何?」

「何って、塾一緒に行こぅ言ったんハルやん!」

「あぁ~」

「あぁやないよ。…長かったけど、何の話ししてたん?」

「ん~…高校の話し」


自転車に荷物をくくりつる。
何か考えている明を横目に、ペダルに足をかけ踏み込んだ。
ヘルメットはカゴに入れたまま。
冷たい風が頬を斬る。

少し遅れて明が横に並ぶ。


「うわ~いけんのだ。メットぐらい被りや。」

「あぁ。部活もまだしよるし、塾まではそうやな。」

「あたり前。あたしも塾からは被らんよ。」