そしてなぜかあたしは今、奏太が転入してきたまさにあの日駆け込んだ音楽準備室で、いやにしぶく夕日を背負った奏太と対峙していたりする。 なんでだ。 「ユズコ?」 「はっはいぃ!?」 にっこりとことさらゆっくりあたしの名前を呼んだ奏太の声にあたしの肩はびくりと跳ね上がった。ついでに声も裏返った。