君へ贈る愛の歌




「よぉ、来たかブス!って・・んだこのチャラ男は」



仕方なく本田先輩の待っている旧校舎へとやってきた。


ここは薄気味悪くてほとんど誰も近寄らない。先生たちすらも。


気を使ってこの場所を選んでくれたのかな。


ホコリをかぶっていてもおかしくないはずなのに、なんとなく小奇麗になっている教室。


端っこにセットされた二つの机と椅子のセット。


本田先輩の制服がちょっと汚れてしまっているのは・・・もしかして掃除してくれたから?



「俺は鈴木です!弥生のこと好きなんで、これからは頑張ることにしました!よろしくッス!」



チャラ男と呼ばれた鈴木くんは本田先輩に自己紹介を始めた。


ああ、もう・・そんなに睨まないでもいいのに本田先輩。


だけどそんな先輩にも怯むことなく敬礼している鈴木くん。


なんなんだろう、この光景。


どんな気持ちでこの様をみていいか分からず、あたしはお弁当を本田先輩に突き出した。



「早く食べないと!お昼おわっちゃう・・」

「チッ。おいチャラ木、てめーの机も椅子もねーから地べたで這いつくばって食えよ。それが嫌なら隣の教室から椅子もってきやがれ」

「ふふっ」


毒を吐きつつもちょっと優しい本田先輩につい笑ってしまった。



「笑ってんなよ、ブス」

「いたーい!!やめてよ、本田先輩~!」



ほっぺつねられた・・。痛いよ、バカ先輩。