君へ贈る愛の歌




ガッシャーン!!ズササササッ



「お前らそろいも揃って都合のいい奴らばっかじゃねーか!笑わせやがるぜ」



物凄い音がして条件反射でそっち向いた。


どうやら、耳に届いた騒音は教室の入り口付近の机と椅子が思いっきり蹴飛ばされたことによるものみたい。


机の中に入っていたであろう教科書たちと共に散らばっていた。



「ほ、んだ先輩・・?」



さっき教室の前で別れたばっかりじゃないか。


それなのに、なぜここにいるの?


しかも教室こんなにめちゃくちゃにして。



「俯くんじゃねぇ、ブス」



大股でこっちにどんどんと近づいくる本田先輩をみて、あたしは一歩後ずさってしまう。


だけど本田先輩はそんなこと気にもとめずに、大股でずんずん近寄ってきてあたしに手を伸ばした。


クイッ


本田先輩の右手の人差し指に顎を救われて、あたしは強い視線に囚われてしまった。



「気づけ、ブス。なんでお前は今こんな立場に置かれているのか。お前が俯く理由があるのか?」

「え?」

「振り回されるな。俺はあいつみたいに、お前を甘やかして慰めたりなんかしねぇよ。自分の意思で前を向け。全部お前次第だ、みゅう」




全部・・あたし次第。


そういった本田先輩の目は鋭くて、それなのにどこか優しさを感じる。


ああ、この人カッコイイ。


そう思った。