君へ贈る愛の歌




「お前らがそーゆーことすっから、スマイルは弥生から離れないんじゃねーの?」

「そーだそーだ!」

「女の嫉妬こわー」



俯きながら席につこうとした瞬間、背後から聞こえてきた何人かの声。


まるであたしのことを擁護しているかのように聞こえるその声の元を辿って後ろを振り向けば、


割とかっちゃんと話している男の子のグループの姿。




「な、何よあんたたち!今までこいつのこと散々男扱いして泣かせてたのはあんたたちじゃないの!」



声を荒げる派手な3人組。




「小学校中学校の頃ってのはな、男は好きな女に対して冷たい態度とっちまうもんなんだよ!」

「は、なによ!あんたこいつのことが好きなわけ!?」



教室の中がシーンと静まりかえった。


隣のクラスからも野次馬が訪れてきていて、この話の行方を興味津々に聞いている。


に、逃げたい。


もうよくわからない。


かっちゃんがいないだけで、こんなにたくさんのことが起こってしまうの?


かっちゃんがいないだけで、こんなにも呼吸がしづらいの?



「ああ、好きだよ!スマイルがいたから言えなかったけど、俺はずっと弥生が好きだったよ!」



なに、いったい何を言っているの?


そんなの嘘。


今こんなことを言っている鈴木くんは、中学校の時に背が高くて男のようなあたしと絡むのは恥ずかしくて出来ないと言っていた。


そんなあたしと一緒にいるかっちゃんを、嘲笑っていた。


それなのに何で今・・・そんなことを言っているの?