君へ贈る愛の歌




周りのヒソヒソ声も。


好奇な視線に晒されることも予想していた。


登校するだけで、こんなに心臓がバックバクするなんて情けない。


そりゃ、そうだ。


いっつもかっちゃんにベッタリだったあたしがどの学年からも怖いと恐れられている本田先輩と登校してるんだから。


そもそも学校に友達なんていないあたしは、こんな時恰好の餌食だ。



「おい、ブス。帰りと昼飯は俺様に付き合えよ?逃げたら・・分かってんな?」



あたしの教室にさりげなく送り届けてくれた本田先輩は去り際にそんなことを言う。


まるで、脅しだ。


一体何をされるか分かったもんじゃない。


昼も放課後も逃げようと心に決めた。



「あれれ?今日は愛しの旦那様はいないのね?」



いつもは話しかけてくることのないクラスの派手な3人組の女の子に囲われた。



「とうとう愛想つかされちゃった?」

「あんたがスマイルを独り占めできるのもここまでかしらね?」

「まぁ、当然よ。あんたみたいな浮気者」



かっちゃんがモテることは昔から周知の事実で。


そんなかっちゃんにずっとベッタリだった女の子たちがあたしを良く思っていないのは知っていた。


だから昔から、あたしには友達がいない。


男の子からはイジメられて、女の子からは疎まれて。


そんなあたしを包んでくれたのはずっとかっちゃんだけだったから。