君へ贈る愛の歌




「あたしはピアノの部屋で寝るので、本田先輩はベッドのある部屋使ってください」



さすがにソファで寝ろとも言えないし。


あたしは最初からピアノの側で寝ようと思ってたからベッドの部屋くらい・・いいか。



「あ?ブスはどこで寝んだよ」

「あたし、あたしのお気に入りの場所があるのでそこで寝ます。じゃあおやすみなさい」



必要最低限の場所だけ案内して本田先輩と別れてピアノ部屋に籠った。


外は豪雨。


時折ピカッと光る雷に少しビクビクしながらも、ピアノ部屋は防音だから外を見ないようにすれば大丈夫。


かっちゃんがピアノを弾いてるとき、あたしはかっちゃんから少し離れて壁際に座り込む。


かっちゃんの横顔を下から見上げるように眺めてた。


ピアノと向き合ってるときのかっちゃんは楽しそうで、そんなかっちゃんがあたしは大好きで。


弾き終われば必ずみゅうおいでって言ってくれる。


そんな時間が大切で。


ここにはかっちゃんとの思い出がたくさんあるね。



「ふふふ、なんか変な感じ」



いつもかっちゃんが座ってる椅子に座ってピアノに触れてみた。


いつもは、あそこであたしがみていてかっちゃんはたまにあたしと視線を合わせてくれる。


かっちゃんからみた景色はこんな感じだったんだね。