今まで、かっちゃん以外の人に関わらないように生きてきた。
人と関わりを持つことは、とっても怖くて。
家族にすら愛してもらえないあたしを、誰が受け入れてくれるの?
それでもかっちゃんが、ずっと一緒にいてくれたから。
あたしはかっちゃんのことだけは信じられた。
かっちゃんのことだけを見ていれば傷つかないって思ってた。
小学校も、中学校も男子にイジられる度にその気持ちは強くなって、かっちゃん以外の人たちを自分からシャットアウトしてきたの。
でも、それじゃダメだ。
あたしはかっちゃんに出逢ったころから何も成長してない。
幼いころのまんまだね。
「あたし、かっちゃんがいなくても・・・学校行きます」
「たりめーだ。フニャフニャ野郎が俺にお前を送り迎えしろってよ。こんな山奥じゃあぶねーからよ」
かっちゃんそんなことまで・・。
「ちなみに俺、しばらくあそこにいっから」
本田先輩が指差したのは、この家の横にポツンと建ってるプレハブだ。
「え!?なんで」
「あっ?おめーいくら田舎といえど、ここは山奥だぞ。いくらブスでも若い女一人ってのは危険だろ」
本田先輩がいた方が危険なんじゃ・・・。
「安心しろ。あいつがいねぇ間、俺はお前に一切手を出さない。俺からはな?」
ニヤリと意味ありげに笑う本田先輩。
「あたしから手、出すわけないじゃないですか!」
「ふっ。俺から手は出さないけど、俺にとっちゃチャンスだからな。棒にふんねぇよ」
本田先輩の真意が分からない。
だけど、あたしはかっちゃんのために証明してみせるよ。
かっちゃんのことが大好きだって。


