君へ贈る愛の歌




「拒否しろっつの、ブス。ほらよ」



頭をコツンとされて、我にかえった。


あ・・。


そうだ、振り払うべきだった。


なんなの、あたし。


昔はかっちゃん以外の人を振り払うことは条件反射だったのに。


かっちゃんが離れてしまったら、あたしは受け入れてしまうの?



「浮かねぇ顔してんじゃねーよ。俺様てきにゃ好都合だけど?」



ふっと鼻で笑う本田先輩が雰囲気を和らげようとしてくれているのがわかる。



「ほらよ。行くぞ」



本田先輩があたしの右手にそっと何かを握らせた。


かたい・・。



「これって・・・」



恐る恐る手を開けば金色の鍵だった。


金色の・・・鍵は・・・



「かっちゃんのピアノ部屋の鍵だ」

「ブスに渡してくれってフニャフニャ野郎がよ。そーゆーことなんじゃねえの?いつだれが、お前のこと捨てたんだよ」



かっちゃん。


かっちゃん・・・。


かっちゃんが、この鍵を本田先輩に渡した意味を。


あたし、なんとなくわかっちゃったよ。