君へ贈る愛の歌




「なかなか見つからないわね」

「うん・・・」



菊子ちゃんと一緒にかっちゃんを探しはじめてもう二週間。


約束通り学校に通ってる。


だけどかっちゃんの居場所は未だに掴めない。



「都内の病院って言ってもかなりの数があるし、もう少しかかるかもしれないわね」

「かっちゃんは・・・今、一人なのかな」



かっちゃんのお家はあたしの家と違って愛に溢れているお家だけど。


両親は海外を飛び回っているし、歳の離れたお兄さんの響大くんも進学時に田舎を離れた。


だからずっと一緒に暮らしていたおじいさんが亡くなってから、かっちゃんは一人暮らし。


ほとんどの時間をあたしと過ごしてきたの。



「入院となれば誰かしらが力になっているはずよ。その辺は安心していいんじゃない?」

「そっか・・・それもそうだね!」



菊子ちゃんといると、あたしが昏い思考に流されたときいつも連れ戻してくれる。


本当にありがたい存在だなぁって思うんだ。



「ねぇ、なんで彼の事を好きになったの?」

「え?」



菊子ちゃんからの突然の質問。


なんでって聞かれると・・・。



「かっちゃんだから・・・ってことしか言えないかも。顔がカッコイイ人とか、すごく優しい人とか、たくさんいるけど・・・。でもね、かっちゃんだから惹かれたの。かっちゃんが、かっちゃんだから好きなの」



自分でも何を言ってるんだろうって感じだけど、そうなの。



「そうね、そうよね」



伝わったかなってちょっと心配だったけど、菊子ちゃんは穏やかに笑ってた。



「もしかして、菊子ちゃんも好きな人いるの?」

「え!?・・・いたわよ。でも、ダメな相手なの」



それってどういう・・・?



「さ、この話は終わりよ。今から手がかり探しに行くわよ」



ダメな相手なのって言った菊子ちゃんはすごく悲しそうだった。