「よぉ、フニャフニャ野郎。痛々しい恰好してんじゃねぇか」
病室に戻ったら、予期せぬ来客。
「本田先輩・・・。からかいにでも来たんですか?」
「いっちょまえに個室じゃねーかよ。イイご身分だな」
相変わらず毒づいてばっかりだな、先輩は。
それでも今となっては、みゅうを託せる唯一の存在。
これから先・・・みゅうの隣を歩くのはきっと、この人だ
「おい、お前一体どーゆうつもりだ」
なんで本田先輩が俺のところへ訪れたのか、大体は分かってる。
みゅうと最後に言葉を交わした日、先輩は俺の元へと訪れたから。
自分がこれからさきみゅうと一緒にいれる保証もないのに、みゅうを迎えに行くことは出来なかった・・・。
だから、お願いしたんだ。
本田先輩にみゅうを迎えに行ってくれって。
そしてそのまま・・・俺は入院になってしまった。
「これから先、俺はみゅうのそばにいれません。だから・・・だから・・・みゅうのことを」
お願いします。
そう頭を下げようと思っていたのに、どうしてかそれが出来ない。
悔しくて、悔しくて、仕方ない。
俺が、そばにいたいんだ。
俺が、隣にいたいんだ。
誰にも・・・みゅうを渡したくない。
だけどそれじゃあ、みゅうは笑顔で生きていけない。
握った拳が、震えた。
絞りだすように吐いた言葉は
「よろしくお願いします」
下げた頭を、あげることが出来なかった。


