行くあてがない私を伯母さんたちは師範に紹介してくれた。



本当は誰のお世話にもなりたくなかった私だがあの頃の私はどうすることも出来なかった。



師範には昔本当にお世話になった。



なぜ"師範"と呼んでいるかというとそこでいろいろ格闘技を習ったからだ。



そこで奏多たちと出会った。



"たち"というのは連治が神龍の総長だった時の幹部メンバー。



総長1人・副総長1人・幹部5人の合計7人であの頃の上層部はあの頃の神龍はなりたっていた。



連治は私がそこに来る前からちょくちょく稽古をして貰っていたみたいで奏多とも仲が良かったみたいだ。



今はその恩師である師範とも連絡をとっていない。



もちろん師範は私のマンションを知らないから私から会いに行かないと会えない。



だけど臆病な私はそんなこと出来ない。



なぜなら、師範は奏多のお父さんにあたる人なんだから―――



奏多が亡くなってから私は一度も師範と会ってない。



いや、正確には会えなくなった。



どんな顔をして会えば良いか分からなくて会うのが怖いというのが正直な答え。