「二人共いるんでしょ?」 「いるよ」 「じゃあどうして?」 少し間を空け その子は川を見ながら切れた唇を舐め下唇を親指の腹でさすってからゆっくり答えた。 「別に…」 そう言いその子が立ち上がろうとした時 見知らぬおじさんがタバコを吸いながらこっちに向かって歩いて来たかと思うとその子の頭を拳で殴り付けた。 俺はびっくりして何もすることが出来なかった。 その子は意識を失っておじさんに抱えられた。 俺は子供なりにあの子が危ない目に会うと直感して怯えながらも聞いた。