父さんはもうあたしの知ってる父さんじゃなかった。まるで殺人鬼かのように返り血を浴びその時あたしは初めて父親という存在に恐怖を感じた。
「母さん大丈夫!?」
母さんはびくともしない。
「この糞野郎!!!」
ドカッ
あたしが父さんに怒鳴ると父さんはあたしの顔面を殴ってきた。
切れた唇を舐め下唇を親指の腹でなぞるとあたしは吹っ切れたように力任せに殴り蹴りを繰り返した。
勝つはずも無くやれば倍になって返ってくるのに…。
「千秋…もういいから…」
母さんが泣きながら言った。
言葉を発した母さんにあたしは安心した。
「大丈夫!?今氷持ってくる」
父さんはあたし達をみるなり不適な笑みを浮かべた。
