アレイド「そういうワケで、俺はまた旅を続けるよ。……そうだな、もうここも危険かもしれねぇから、一応何枚かカードを渡しておく」

スレッド「ふむ、魔物の手がこの国まで伸びて来たという事か────と、何? カードを渡す? 魔法の術を私たちに譲渡すると? 私たちに魔法の行使を許可すると? 私たちに魔法使いになれと!?」

再加熱。アレイドの好意にお父様は好奇心を蘇らせていく。
その節操の無さはどこからか、と咎めたところでもう止まりはしない。
……いやいや。興奮するのはお父様だけに限った事ではないのだ。
魔法を見るのではなく、使える。夢を見るのではなく、現実に出来る。
あぁ、本当に。
願ってもないコトじゃないか。

アレイド「そんじゃみんなにカード配って……んーとんーと、あー……あ?」

皆の手元に赤いカードが配られていく。
掌に収まるかどうかくらいの大きさ、律儀にも丸められた四隅の角、多少は頑丈そうな僅かなる厚み。けれども……うーん。どこからどう見ても単なるカード。種も仕掛もございません状態。本当に魔法が使えるのだろうか?と疑う事請け合い。

ところで、ハテナ?な教育される側はさておき、

アレイド「んーむ。んー?」

教育する側もハテナ?な状況なのはどのような所以なのだろう。

アレイド「枕……枕が消失。燃える……方向、芳香……鍵穴ロック。ンロール……あ、そうか!」

……聞かなかったコトにする。

アレイド「ズバリ魔法はどうやって使うかと言うと────」

というわけで2時限目。
アレイドは教鞭を執る……と言っては大袈裟ながら、魔法講座は再開されるのでした。