魔物を作った?
その魔物からカード、魔法が作られた?
それを、アレイドのお父様が作った?

……事実関係を把握しきれない。

スレッド「作っ、た?」

アレイド「突然変異体って言ったろ? ありゃ遺伝子操作やら何やらで偶然生まれちまったモノだ。まさか、人を襲う事になるなんて知らずに。
────いや。そんな事はどうでもいい。今回の事は本当に、心から謝罪する」

アレイドは一転して辛そうに頭を下げた。
父親の責任は息子の責任とでも言いたいのだろうけど、それ以前に私たちの理解が追いついていなかった。

……ひとまず整理してみる。
あの異形、魔物は“作り出された”人造の生物で、それらは結果的に人を襲ってしまった。
けれど発端が偶然であったのなら悪意はない。つまりは、アレイドのお父様は別に人を襲わせたかった訳じゃない。

スレッド「いや……例え親の所業が原因でも、偶然であったのだろう? お前に飛び火する事はあるまいて。ましてや、恩人に頭を下げられるような覚えはない」

そう、お父様の言う通り少なくともアレイドに責任はない。
それなら、どうして今までの被害現場に居合わせ、ここに現れて私たちを助けてくれたのか。
……行き着く答えは一つ。

アレイド「俺さ。旅してんだ。魔物からみんなを助けるための旅。でも人助けなんてそう簡単に出来るもんじゃなくてさ、その度に思うんだ。誰かを助けたかったはずの自分がそれを果たせねぇ。なら、その原因を潰せねぇのは、魔物を倒せねぇのは自分の責任だ、って。……でもよかった。今回は成功だ」

シルク「人助け……」

別段、親の尻拭いをするでもなく、代理となって贖罪を果たすわけでもない。アレイドはただ────私にしてくれたように────誰かを助けたかった。

アレイド「ああ、そうだ」

僅かに呟く私に応え、アレイドはまた眩しく笑う。