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スレッド「む。ようやく起きたかシルク」

普段着に当るいつもの白いドレスに身を包み、昨日と同様に皆が集う部屋へこっそり足を踏み入れる。
……と言っても、いくら静かに進入しようが遅刻した私の姿は白昼の泥棒並に目立っていた。さらに私が遅刻したおかげで皆の朝食はおあずけ状態だったらしく、飢えた獣の眼は遅刻者を見逃さなかった。
扉を開けた瞬間に発見されては、もはや無駄以外の何でもない。

シルク「……申し訳ありません」

スレッド「謝るよりまず、先にすべき事があろう?」

開口一番、泥棒さながらに謝罪してみたものの、お父様は苦笑いしながら私を窘めた。
先にすべき事……ああ、そうか。

シルク「おはよう、ございます」

おずおず、朝の挨拶を済ませる。
するとやつれ気味だった皆の顔が一気に軟かになるのが分か────ったのだけど。ある人物の姿を確認した途端、私の思考回路は強制遮断された。

コットン「さぁ、全員揃ったところで遅めの朝食と致しましょうか。アミティ」

アミティ「はい、直ちに」

フィル「……むむ、腹の虫め、行儀の悪い」

スレッド「むぅ、流石に私も空腹に耐えきれぬ。よし、なれば今朝は暴飲暴食へ走るとするか────と。こらシルク。アレイドを凝視して固まるでない」

シルク「────ぁ、え?」

思考回路再起動……私の目、アレイドの位置で固定。私の身体、その場で硬直中。
結論。長時間アレイドを見つめていたのは避けられない事実である。

アレイド「は。まさかまさか、俺の背後に自爆しそうな自縛霊がいるのか!?」

フィル「な、なな何っだとっ?」

がばっ、と180°旋回して背後を確認するアレイドに、何かに怯えてるのかガタガタ震えて挙動不審になるフィル。
……ため息をつくお父様。

スレッド「先の読めぬ展開へ引き込むな。とにかく席へ着きなさい、シルク」

シルク「は、はい」