───────


アレイド「え、やりすぎ?」

こくりこくり、言葉を失った二人はオモチャみたいに首を上下する。

アレイド「んーと、これが『緑』の魔法、自然干渉。主に今みたいな地面いじりに使うかな。畑とか耕すのに超便利」

耕す、と言うよりは荒らすの方が割に合うと思ったのは私だけじゃないはず。
魔法の説明とはいえ、庭を畑にされたお父様は激怒……は出来ずに顔を強張らせたまま庭を指差した。

アレイド「なに、もう少し見せてほしい? 仕方ねぇなぁ────って、違う? 元に戻せ? オーケー」

そうは言ってないけど……元に戻せるのだろうか。
と思った矢先、畑は再び活発に暴れ出し、それでもしっかり平坦に整えられ、やがて畑から庭へと戻っていった。
それも元の状態と何ら変わりない……うん、確かに便利と言えば便利だ。
加えて、庭が復元したと同時にお二人も復活したご様子。

スレッド「『緑』……つまり自然か。この場合、イメージを変えるとどうなるのだ?」

アレイド「そうだな……自然干渉なんで色々とあるんだが、こーやって、」

アレイドが大きなモーションでカードを横に振る。
ごー。
伴ってやって来る強烈な風。

アレイド「こーやって」

ごー。
今度は反対方向に大袈裟な風が吹く。

アレイド「んでもってこーやってこーやって、このっ」

ごー、ごー、ぶおー。
……いや。うん。だから。やりすぎなんだって。

スレッド「む、むぅ……分かった。分かりすぎた」

その、必要以上に誇張した説明の影響でお父様の髪は嵐が過ぎた後みたいに。
……きっと、『緑』の魔法とはヒトを悩ませるモノに違いない。