「気絶してっけど、とりあえず問題はなさそうだ。他に怪我してるヤツはいねぇか────って聞いてる?」

シルク「ぇ……あ、はい。いません」

「そっか。なら、俺はここらで」

その鮮やかさ故に展開は早く。

じゃあな、と彼は今度こそ本当に別れの手を振った。
ひらひらと力無く、そのぶっきらぼうな挨拶はひどく素気ない。不可思議な出来事が重なりすぎた影響だろうか、どうにも納得がいかない気持ちになるは言うまでもない。
もう帰るのか?
などと横やりを入れてやれれば、多少はすっきり出来るのだろうか。

スレッド「待たれよ、そこの少年。一方的に救われたままで、礼もなしに帰らせるわけにはいかぬのだ。どうだ、少しだけでも時間は作れぬか? もてなし程度なら出来よう」

そして横やりを入れねばならない者が一人いた。
王としての立場があるのだから、放っておいては尊厳に関わる。それに、本気で感謝するつもりであり、同時に尋ねる事項も多々ある。
状況が状況でもこれは仕方のないことだと思い、今ここに出会いの場を設けてみた。

「んー。急いでるわけでは、ないし。時間がないわけでも、ないし」

スレッド「そうか、それはよかった。色々と聞きたい話もあるからな────」