────『魔物』の人間に対する駆逐は、既に開始されている。

今更何を、どう足掻けば救いに縋れるのか。
救いなどない。
意識の有無に関わらず、当に己が苦痛を受け入れ、容認した生物には現世からの迫害を。

そういった意味合いでは、『魔物』は一つの“天罰”だとも言えるのだろう。

しかし。
唯一、藁をも掴む思いに救いが宿る。
『魔』の“黒”を照らし、包容しつくす、『光』の白が。

純白は清めの色。
全てを善に導く標。
『魔』の起源が人間の恐怖と言うならば、『光』の起源は人間の希望である。
欲望とは明らかに異なる、輝きに満ちた願い。これもまたカタチこそ無いが、亡霊に相似することなどなく、確かな存在としてココロを埋める。
『光』は対なのだ。
『魔』の駆逐をくい止めるべく、勇気ある人間にのみ与えられる力なのだ。

だが、本当に唯一。
愚かな人間は、どちらにしろ愚かだった。
ありきたりな言葉であるが、愚かさを通り越して哀れなのだろう。

それでも僅かな、一握りの光輝に託してみる。

それが全ての要因。
物語の表紙。
無限に増え続けるページに、終わり無き運命を書き記す。