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思えばそれが、最期だったのかもしれない。

シンディ「……アレイド……ごめん」

アレイド「それは言うなよ。俺だって怖かったんだ」

足の竦んだシンディを抱き上げ、また走る。やはり目的地などはない。

シンディ「アレは……何だったのかな」

アレ、とはあの異形のこと。
問いかけられても、知らないものを答えることはできない。
でも一つ明確だったのは、

アレイド「アレは俺たちの敵だ。なんの迷いもなく、瞬時に襲いかかってくるんだから。確実に俺たち、人間だけを狙ってやがる」

そう、アレは人間の敵。
偏見は嫌いだが、これだけ確立した敵意は他にない。そんな直感があった。

それに────

シンディ「……アレイド……?」

あいつ、あいつが母さんを────してから、すぐだった。
何か関係があってもおかしくは、ない。

アレイド「いや。何でもねぇ」

普通に暮らしていくのも、今日で最後。
何を、どうすればいいかなんて判らないけれど。
────憎い。
それだけ。
今の俺はその憎悪に支配されるだけ。